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草津のものづくりvol.02 株式会社ナルディック 鉄工房
MANUFACTURING
草津のものづくり
呼吸する鉄素材がおもしろい!
株式会社ナルディック 鉄工房
門扉や手摺などの鉄製品を作られているナルディック鉄工房さん。
工房の一角にある手作りの休憩室で、工房の創設者であり、作品作りの指導をされている造形作家の本郷重彦さんからお話を伺いました。


まず、ナルディックさんの中に「鉄工房」が出来た経緯を教えていただけますでしょうか。
ナルディックでは、鉄の鍛造の色んな製品を作っておられたんですけど、「ヨーロッパのコピーをしてるばかりじゃいかん。オリジナルの物を開発したい。」という考えの下、同社の中村社長が成安造形大学で鉄の造形作家をしていた私にデザイン指導の依頼があったんです。
一年間こちらに指導に来た後、60歳になって大学を退職しました。
大学では現代美術を教えていたのですが、時代に対して敏感に反応できない年になってまでも教えるものではないって決めてましたのでね。(笑)
その後、自由に創作活動に楽しもうと思っていたのですが、社長に「大学辞めて暇やろうから、ひやかしにきて。」と言われて、来るようになったんです。
その時に社長と「生活に寄与する工芸的なものを作って、鉄の文化を発信する」という所があってもいいのではないか?という話になり、物置だったところを工房として使わせてもらうことになったというのが経緯です。

どんな活動・取り組みをしているのですか。
週に3回この工房を開けています。
1参加費2,000円で会社から出る端材は、素材として自由に使ってもらって、私は会員さんが加工の分からないことや危険な時だけ手を貸しています。
鉄素材は小さなパーツを足していく仕事なんです。どんな素材でも足していくと自由に物が作れる。ナルディックには端材がたくさんあるので、とてもいい環境なんですよ。
それに端材とは言え、素晴らしい素材です。
生活の中に取り入れてもらえる作品がそんな端材から次々と生まれています。
会員さんは現在100名を超えますが、みんな譲り合って楽しんで通っておられます。2014年に10周年を迎えまして、記念に作品展もしました。

そもそも鉄に触れられたきっかけを教えてください。
大学で教える前に専門学校でプロダクトデザインや建築を教えていたのですが、ある日京都の河原町寺町の歩道に使われなくなった鉄のポンプがあり、壺の部分にタバコの吸い殻を捨ててあるのを見たんです。ポンプだけどポンプとして機能していない。一方で使われている鉄のドアノブや神社の手すりはピカッと光っている。その差を作品として表現したいと思ったんです。 それでボイラー屋さんに通って、職人さんに鉄の扱いを教えて貰って、ポンプの形をしたオブジェ「PONKO」を完成させました。
僕の作品は乗ったり、動かしたり、触ったり、音を出したりします。そうやって動くことで、作品が育ち、完成するんです。

本郷さんにとって、鉄工房を通して伝えたいこととは何ですか。
鉄を身近な生活素材として取り入れてもらいたいんです。例えば、ペーパーウエイトやキーホルダー、人によってはごみ箱やハンガー、タオルかけなどを作って使われています。
鉄は素材そのものが呼吸しており、手入れして使うことで美しさが保たれる特長的な素材です。鉄が生活の中にあることで、物を大事にする精神が育つと思うんです。
僕らの小さい時はどこの家でも鉄の包丁を使っていて、砥石でといで、乾かしてって大事に使っていたでしょう。今は100円ショップで売ってるステンレスの包丁で砥ぐこともないし、切れなくなったら新しく買って、物に対する関わりみたいなのが無くなってきていると感じます。便利になることが悪いのではなく、そのバランスが大事なんですよね。
そういうのが失われていく時代の中に鉄を持ち込むと、物を大切にする気持ちがいい意味でよみがえり、親世代が作ったものを子供が引き継ぎ使うなど、作った人の思いなどが伝わるのではないかと思うのです。
物を作って楽しむだけではなく、物の持っている本質みたいなものを、作品を通してメッセージとして伝えていきたいですね。
株式会社 ナルディック 鉄工房は、常時会員を募集しています。
会員になれば週3回好きな時に来て、作品を作ることが可能です。(2000円/回・別途入会金10,000円)
見学や体験についてはご予約いただいた上で、開講日の13時から受け入れております。
是非お気軽にお問い合わせください。
株式会社 ナルディック 鉄工房
TEL:077-562-3864
FAX:077-565-0265
ホームページ:http://www.naldic.co.jp/
教室開講日時:毎週水・木・金曜日(祝祭日はのぞく)
13:00~16:00
