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草津のものづくりvol.05 株式会社 瀬川元 瓢泉堂
MANUFACTURING
草津のものづくり
草津伝統の技
素材も売る瓢箪屋
株式会社 瀬川元 瓢泉堂
昔から瓢箪は六瓢(無病)息災の縁起物として親しまれてきました。
全国でも残り少なく、草津で唯一残る瓢箪の専門店「瓢泉堂」の瀬川裕海さんにお話を伺ってきました。


創業からこちらでずっとされているのですか。
店の前の道標にもある通り、ここは旧東海道と矢橋道の分岐点なんですが、創業はこの場所の斜め向かいでした。元々、ここは姥が餅のお店やったんです。旅人達はここで姥が餅を食べて、向かいで水筒の瓢箪を買ったんですね。瓢箪は水を入れるのはもちろん、夜はお酒を入れる容器として使ってたんです。
今ではもううちだけになりましたが、この辺には瓢箪を売る店が6軒ほどあったそうですよ。
瓢箪、今では縁起物ですよね。
そうですね。今はペットボトルもありますし、水筒として使われる事もなくなりましたからね。
縁起物として飾られるようになったのは、病気がちな父親の為に息子が養老の滝の水を瓢箪に入れて飲ませたところ、病気が治った。という言い伝えから来てます。「6つ揃えれば六瓢(無病)息災になる」という訳です。

瓢箪はどのようにして作るんですか。
技術は特に必要はないんです。趣味で作られている方もいるぐらいですし。
瓢箪の栽培は農家さんに委託をしていまして、9月に収穫されたものを引き取ってから、うちの作業が始まります。まず、水に大体20日から一ヶ月程浸けて、中身を腐らせるんです。今は水槽に漬けているんで、物凄い臭いですが、昔は川で浸けるので、臭みも流れていったとか。その後、一つ一つ手作業で洗って、乾燥させ、種を取ってさらに籾殻で洗います。そのまま店頭に出すものもありますし、中には色を付けるものもあります。

技術は要らないと仰られましたが、工程としては多いですね。
根気は必要な作業ですね(笑)
水から上げた瓢箪は表面に膜が出来るのを取らないと色がのりませんから束子でぐるりと洗いますし、種を取るのも一つ一つ曲がった針金で抜いていきます。真ん中がくびれているのに、出口は一つでしかありませんから、なかなか骨の折れる作業です。種同士がくっついて塊になっている奴もあって、潰しながら出していくんです。
色を塗る時は、まず下地として墨を塗ります。実はその墨に少しこだわりがあるのですが、それは企業秘密(笑)
その上に赤色を重ねて全体的に赤黒い色に仕上げます。瓢箪は形が一つ一つ違うように、色のノリも一つ一つ違うんです。その後、ニスを塗りますが、一度目のニスは瓢箪が吸ってしまって乾くと光らないんです。だからニスは二度塗るんです。

瀬川さんがこのお仕事を始められたのはいつからなんですか。
子供のころから嫌々ながら手伝いはさせられていました。
遊びたい年頃にね(笑)
本格的に始めたのは33歳のころ、それまではサラリーマンをしていたので、生活ががらりと変わりました。その頃はバブル時代ということもあって、朝早くから夜中まで作業して、休みもなく作っていました。
今後をどのように考えられていますか?
現在は瓢箪を飾る家庭も減ってきて、なかなか需要が無いのが現状です。
うちは素材としても販売してますから、大きい瓢箪でスピーカーを作るとかマラカスや笛などの楽器にすると購入される方もいらっしゃいました。そういう風にこれが気に入った!みたいな方に買っていただきたいですね。
ただ、こういうものが昔からあるという事、草津伝統の技、それを伝えていくことは大事にしていきたいと思います。
瓢箪は一つ一つ形や表情が違います。
また、丸くて角がないことや中空という事もあり人間に例えられることも。
自分や大切な人にそっくりな瓢箪を探すのも楽しいですよ。
末広がりな縁起物を一つ如何でしょうか。
株式会社 瀬川元 瓢泉堂
TEL:077-562-2435
FAX:077-562-2481
E-MAIL:info@hyoutan.jp
ホームページ:http://www.hyoutan.jp/
営業時間:9:00~19:00
定休日:日曜日、祝日(事前連絡いただければ対応可)
